【インタビュー・構成】辻村深月×むぎわらしんたろう『ドラえもん のび太の月面探査記』

  • 2019.03.11

今年の映画ドラ『のび太の月面探査記』の脚本を担当された直木賞作家・辻村深月先生と、F先生のチーフアシスタントだったむぎわらしんたろう先生の対談を構成しました!前後編です。辻村先生のオーダーが「ドラえもんに詳しいライターさん」ということだったので、他の予定押しのけて引き受けましたよ!

【前編】のび太が命を賭けるのは「当然」ではない

辻村先生のドラえもんマニアぶり、F作品好きはそりゃあもう半端なくて、第一声からF先生の名言「ドラえもんが通ったあとにはぺんぺん草も…」が飛び出しました。「深海に行くと体がペシャンコ」→「海底鬼岩城」等、まるでライターを試すかのようなボールを投げまくり。ええ、すべて打ち返しましたよ!

そんな前編では、なぜ「月」を舞台にしたのかの理由と、辻村先生がオリジナル脚本作ではベスト1だという『太陽王伝説』についての話。明日の後編では、大長編ドラが子供向けにしてはギミックや伏線の難易度が高い点や、敵ボス論について、辻村先生の見解を。

ひみつ道具の出典としていちいち「てんコミ◯巻収録」と入れているのは、稲田のささやかな(そして並々ならぬ)こだわり。辻村先生に映画ドラのベスト1を聞くのに「原作大長編」「映画版」「原作なしオリジナル脚本の映画版」と、わざわざ質問を分けるあたりも(笑)。質問を分けても、すぐにその意図を察知してくれた辻村先生も最高。

【後編】子どもは、いつだって“のび太の想い”に自分を託す

後編は

・小説と脚本の決定的な違い
・物語の難易度調整
・大長編ドラ「敵ボス設定問題」
・ドラ映画の社会批評的な側面

について。とくに難易度調整と敵の設定については、『ドラえもん』好きの辻村先生だからこその「わかってらっしゃる」感がすごい。そして、公式では若干答えにくいと思われる「ドラ映画の社会批評的な側面」についての問いには、「のび太はいつも個人である」にすべてを集約させる、辻村先生の見事な回答。

当たり前ですが、もろもろの事情で載せられなかったトピックや発言、言葉尻は山ほどあります。そういうのも「察して」いただきながらお読みいただけると幸いです。もちろん、良い意味で。