自著初の評伝『アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語』(KADOKAWA)11月27日刊行

  • 2024.11.17

自身2冊目のポテトチップス本『アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語』(KADOKAWA)が11月27日に出ます。「できたてポテトチップ」で知られる、埼玉県八潮市の老舗ポテトチップスメーカー・菊水堂。その創業者・岩井清吉の評伝にして、日本のポテトチップス産業についての貴重なオーラルヒストリー(口述歴史)です。

1930(昭和5)年、群馬県の馬山村に生をうけ、敗戦の混乱のなか商売の腕を磨き、10代で上京して1953年に独立。湖池屋から遅れること2年、1964年にポテトチップス製造をはじめた岩井清吉。瓦せんべい職人だった彼は、なぜポテトチップス作りを思いついたのか?

清吉の波乱万丈の生涯とそこに並走する戦後大衆史を、清吉を知る多数の親族や業界関係者への聞き取り取材によって綴った本です。特にポテチ史については、インターネットに載っていない、国会図書館でも調べられない、当時の関係者の記憶の中にしかない情報を足で稼ぎました。まさに、オーラルヒストリー。

日本におけるポテトチップスの普及史は前著『ポテトチップスと日本人』(朝日新書)で書き切りましたが、同書はメジャーメーカーの側に立った史観、すなわち「巨人の視点」による通史でした。対して本書は、シェア0.3%の零細メーカーである菊水堂創業者の視点、すなわち「蟻の視点」によるポテチ史です。

評伝であり、オーラルヒストリー。そしてまた本書は、シェアたった0.3%の零細企業が、なぜカルビーや湖池屋といった〈巨人〉に踏み潰されることなく現在も生き残っているのか?という疑問に答える、ある種の〈ビジネス書〉でもあります。

序章「蟻の目」より抜粋

最後に。本書はライター・稲田のキャリアとしては結構重要でして。実は「評伝」を書くのは初めてでした。ずっと書いてみたかったんですよ、評伝というものを。

願ってれば叶うもんです。50歳になっても。